高齢者のための元気に”うち”で過ごすヒント-その3-生活リズム睡眠 編

歳を重ねるごとに、睡眠の質が低下しやすくなります。

・寝つきが悪い、なかなか眠れない

・夜中に目が覚める

・早朝に目が覚める

など、何種類かの睡眠の問題が現れやすくなるのが老年期です。

寝つきを良くするための工夫を紹介します。

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【リーフレット】高齢者のための元気に過ごす生活リズム編(夜版)

高齢者のための元気に”うち”で過ごすヒント-その2-生活リズム昼 編

新型コロナウイルス流行のため、3密を避け、不要不急の外出自粛が求められて1か月が過ぎました。

外出自粛のために散歩もままならず、昼間元気に活動できる機会が減っています。

ここでは、日中元気に過ごし、夜は気持ちよく眠るために、”うち”での日中の過ごし方の工夫を紹介します。

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【リーフレット】高齢者のための元気に過ごす生活リズム編(昼版)

高齢者のための元気に”うち”で過ごすヒント-その1-生活リズム朝 編

新型コロナウイルス流行のため、3密を避け、不要不急の外出自粛が求められて1か月が過ぎました。

以前は、太陽の光を浴びて好きな時に外出し、運動のために散歩し、友人と楽しい会話をして、昼は元気に活動、夜は自然と眠りに誘われていた方が多いと思います。

しかし、外出自粛のために散歩もままならず、人と対面してゆっくり楽しく談話もできなくなり、心配事が増えて自宅にこもると、夜もなかなか寝付けないこともあるでしょう。

夜眠れないと、体の疲れも取れず次の日に眠気が残り、元気な気持ちで過ごせなくなりします。

ここでは、日中元気に過ごし、夜は気持ちよく眠るために、ご自宅での工夫を紹介します。

1日の生活のリズムに合わせて、みていきましょう。

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【リーフレット】高齢者のための元気に過ごす生活リズム編(朝版)

 

【参考文献】

  • 三島和夫(2017).高齢者を取り巻く光環境と睡眠・生体リズム障害,睡眠医療,11,489-493
  • 田中秀樹,田村典久,渡辺綾子,嵩原広宙(2018).不眠高齢者編お睡眠改善からヘルスアップと地域連携,Geriatric Medicine,56(1),39-43
  • 白川修一郎,松浦倫子(2018).昼寝と認知症,睡眠臨床,12,505-511

 

高齢者のための嚥下体操その2-嚥下体操はどうやるの?

免疫力を高め、コロナウィルスに負けない体を作るためには健康的な食事が欠かせません。

外出自粛が続いていますが、美味し く、楽しく、食事をするには噛んで「飲み込む力」を維持することが重要です。

そして飲み込む力を維持するこ とが誤嚥性肺炎の予防となります。

最近むせやすくなった、活舌が悪くなったという症状は、飲み 込む力が弱くなってきたサインです。

「食べることは生きること!」第2弾として、嚥下体操を やってみませんか?

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高齢者のための誤嚥性肺炎予防-嚥下体操編

 

参考文献

・一般社団法人 大阪府医師会(2016).高齢者のための新しい口腔保健指導ガイドブック(https://www.oda.or.jp/pdf/pab_m06.pdf 5/1閲覧)
・小山珠美 編(2016).口から食べる幸せをサポートする包括的スキル.医学書院

高齢者のための嚥下体操その1-「お口の健康チェックリスト」つき

加齢とともに「お口の中の機能」は低下することがほとんどです。

「お口の機能」が低下すると、食べ物をうまく飲み込めない、食べ物やお口の中の細菌が肺に入やすくにる、そして誤嚥性肺炎を引き起こす原因となります。


また、食べ物を食べづらくなることで食欲がわきにくくなり、栄養状態が落ち込み、その結果免疫力も低下してしまいます。


「食べることは生きること!」。お口の健康を維持して元気にStay homeを安心して過ごしましょう。

 

 チェックリスト付きパンフレットの印刷はここから。 

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高齢者のための誤嚥性肺炎予防 

 

参考文献

・一般社団法人 大阪府医師会(2016).高齢者のための新しい口腔保健指導ガイドブック(https://www.oda.or.jp/pdf/pab_m06.pdf 5/1閲覧)
・小山珠美 編(2016).口から食べる幸せをサポートする包括的スキル.医学書院

転倒予防のためのフットケア

フットケアの大切さ

足は全身の健康状態を知ることができる「窓」。

長年の生活習慣とともにさまざまな足のトラブルが増加しています。

特に高齢期におこりやすい転倒・骨折を予防するためには、足の爪切りや足浴、靴の選び方、歩き方などの日頃の足全体の手入れ(フットケア)がとても大切です。

ご自分の足をチェックしてみましょう。
①足
むくみ
水ぶくれ
掻き傷
乾燥
皮膚の色
ゆびの間
ジクジク
皮膚のめくれ

タコ
ウオノメ

②足の甲
発赤
腫れ
ゆびの甲
発赤
タコ
ウオノメ

③爪
爪の色
巻き爪
変形・肥厚
爪のまわり
発赤
腫れ

④かかと
靴づれ
乾燥
ひび割れ
足の裏
皮膚の色
乾燥
タコ
ウオノメ
皮下出血

足浴や入浴で日頃のケアを

①温浴によって血行がよくなります。40° 程度の湯温で行います。
②皮膚がやわらかくなり、角質を取りやすくします。
③皮膚を清潔にします。
④リラックスできます。
⑤皮膚の適度な保湿を保ち、乾燥・蒸れなどを避けることができます。

転倒しにくく、足にあった靴選びのポイント
①足に合った靴を選ぶときには、サイズのほかに、土踏まずのアーチと足の甲のアーチが重要になります。
②土踏まずのアーチが低すぎると足のバネが利かずに力がうまく伝わらず、アーチが高すぎると圧迫感と痛みが生じます。
③足の甲のアーチがしっかりしていないと足の形が崩れやすい。ひも靴であれば、足の形に合わせて微調整できます。
④はきやすく脱ぎやすいが、勝手に脱げない(甲の部分をマジックテープなどで止めるタイプもよい)。

転倒しにくい靴のポイント

①つまずきにくいことと

②簡単に脱げないこと。
③ひも靴はしっかりひもを締められれば問題ないが、指先の力が衰えた高齢者には、ひもがほどけやすく、かえって危険な場合があります。

以上のように、足の皮膚(乾燥、タコ、ウオノメ)、爪(肥厚、巻き爪、変形)、足型(外反母趾)のトラブル、およびむくみや冷えなどの問題を正しく把握した上で、適切にケアし、正 しい靴選びによって正しく歩くことがとても重要です。

「看護ネット」からも公開しています。

作成者 聖路加国際大学大学院老年看護学 亀井智子

「自宅内の安全」を確認して室内での転倒やケガを防ぎましょう-その2-

これは、自宅内での転倒を防ぐことを学ぶために開発した模型です。↓

台所、居間、寝室、トイレ、浴室、階段、玄関を模型で再現しています。

  • さて、自宅の中で転倒しやすい場所と理由を考えてみてください。 実用新案登録3148203号
  • 答え↓
  • ①台所
  •  床にマットを敷いていることが多いと思います。マットの裏に滑り止めがないとめくれたマットの端に躓きやすくなります。また、買い物袋を床に置いたままにすると、躓きやすいですね。
  • ②居間
  •  こたつの掛物が広がっていると、躓きのもとになります。テレビほか電気コードが床の通り道に出ているとこれも躓きのもとですので、壁に沿わせます。コードカバーというものもあり、これを使うと廊下と壁の境目にコードが止められます。
  • ③寝室
  •  鏡やハンガー掛け、家具の配置は安全ですか? 入口は広く空けましょう。布団もたたみましょう。
  • ④トイレ
  •  このトイレは和式です。高齢者には様式トイレが安全でしょう。
  • ⑤浴室
  •  浴室に段差があれば、すのこを敷くことで、脱衣所と同じ高さにできます。浴槽に入るとき・出るときの手すりが必要です。L字の手すりが良いでしょう。浴室の床がぬめっていると滑りやすくなりますので、防カビ対策も肝心です。浴室の床には何も置かず、椅子を用意しましょう。
  • ⑥階段
  •  階段にはしっかり握れる手すりをつけましょう。階段を降りるとき、電気の向きによって影ができないようにします。
  • ⑦玄関
  •  靴の脱ぎ履きのときに、一瞬片足立ちになりますので、バランスを崩しやすくなります。手すりを設置したり、腰かけられる椅子などがあると高齢には安全です。玄関での転倒は、後ろに転倒すると腰の骨折、前に転倒すると顔面や頭部を打撲することがあります。
  • 自宅の中の転倒の危険を少しでも減らして安全に暮らしましょう。

「自宅内の安全」を確認して室内での転倒やケガを防ぎましょう-チェックリスト付き-

高齢者の転倒発生の頻度は一年間に20~30%と、若い世代と比較して高いと言えます。(20歳位の世代の転倒発生は一年間に1%程度です。)

当研究室からの研究成果に基づく情報をお届けします。「看護ネット」でも公開しています。

  1. なぜ高齢者の転倒は予防が必要なのでしょうか?

①転倒が原因で、けがや骨折する頻度が高い

②転倒が原因となり、入院治療が必要となることがある

③転倒直後には打撲しただけと思っていても、数時間、数日後に症状が現れて重篤化することがある

④骨折してしまい、外科的治療を行った場合、元のように生活行動が自立するまでにリハビリテーションを続ける必要がある。

⑤転倒後に家に閉じこもりがちとなり、下肢筋力の低下が生じて寝たきりへとつながる負の循環に陥りやすい

⑥「転倒恐怖症」と呼ばれる転倒がきっかけで外出することが怖い、外に出たくないという気持ちに陥りやすい

2.自宅の内と外のどちらの転倒発生が多いか?

筆者らの東京都中央区内の調査では、自宅内と外での転倒発生は、約半々でした。自宅の中も外も同じように注意することが必要です。

3. 高齢者に安全な住まいとは、

①部屋や廊下など移動が安全

②明るさがある

③冬季などでは部屋や浴室、トイレに温度差が少ないこと

④収納物が、無理なく取り出せる

などです。
部屋の移動の時には、廊下などの通り道に段差などの障壁はないほうが移動しやすいといえますが、マンションなどでは段差解消は難しい場合もあります。

出入リロや廊下の段差をなくし、十分な幅をとることはもちろん、照明の明るさや、浴室の温度差の解消も安全の点から必要です。
歩いたり、立ったり、座ったりする動作が安定した姿勢で行えるように、手すりや腰掛け、背もたれなどを適切な位置にあると良いでしょう。

4. 高齢者にとつてより安全な住まいを実現するためのポイント
ではまず、下の家はどこに問題があるか考えてください。

場所別にポイントを説明します。

1. 玄関の外

  • 1)玄関先に段差があり、歩行しにくい時には、スロープ等を設置し、段差を解消しましょう。手すりをつけて、つかまれるようにすると歩きやすくなります。
  • 2)玄関前のステップがすべりやすい時には、雨・雪を避けるひさしをつけましょう。
  • 3)庭先に砂利・飛び石等ですべりやすい時には、玄関戸から道路までの段差、飛び石、砂利を取り除くようにしましょう。

2. 玄関の中

  • 1)玄関の上がりかまちが床から高すぎる時には、踏み台。手すりをつけてみましょう。さらに補助照明を設置すると、足元が明るくなり、履物の着脱がしやすくなります。
  • 2)玄関マットが床に固定されていない時には、マットは床に固定しましょう。マットの下にすべり止めのシートを敷くことも効果があります。マットの縁がめくり上がらない材質を選びましょう。
  • 3)履物の着脱時にふらつく時には、椅子を設置して腰掛けて着脱できるようにしましょう。その際に必要であれば、握ることができる手すりをつけるとよいです。

3. 居間(リビング)の安全対策と転倒予防

高齢者が日常生活の多くの時間を過ごす居間(リビング寝室での転倒は、敷居のような小さな段差、カーベツトの端の めくれ、電源コード、床に置かれた雑誌・新聞などの障害物によって起こります。床に物を置かないようにして、日常の何気ない生活の場の整理・整頓を心がけましょう。

  • 1.雑誌や衣類などは足もとに置かず、まめに片づける習慣をつけましょう。
  • 2.小さい床マットやヘリがめくれているマット、座布団、布団類もへりにつまずきやすいため注意が必要です。
  • 3.電気コードは壁に寄せて固定し、通り道をすっきりさせましょう。
  • 4.ちゃぶ台やテーブルなどの家具は安定したものを使いましょう。
  • 5.ベッド周りには十分なスペースを確保しましょう。
  • 6.敷居などの数センチの小さな段差もつまずきやすいので、すりつけ板を設置するとよいでしょう。
  • 7.これらは、同居しているご家族の協力も必要です。

4. 廊下の安全対策と転倒予防

廊下は、トイレに往復するなど生活する上で必ず使用する場所ですが、荷物、新聞などの障害物やすべりやすいマット、ワックスがけをした床、脱げ易いスリッパ、夜間の照明不足などにより転倒につながる場所です。

  • 1.夜間は十分な照明をつけましょう。特に足もとを照らす照明をつけましょう。
  • 2.荷物、古新聞などの障害物を置かないようにしましょう。
  • 3.手すりをつけましょう。

5. 階段の安全対策と転倒予防

高齢者が使用する階段は勾配が緩やかなほうがよいでしょう。一般的な階段は40度ですが、30度ぐらいが望ましいといえます。勾配が激しく、昇り降りが大変な場合は1階に生活場所を変更をしたほうがよいでしょう。

  • 1.階段の縁に色つきのテープを貼るなど段差が見えやすい工夫をしましょう。
  • 2.階段は下りのほうが転倒しやすいので、手すりをつける際、片方にしかつけられない場合は下りに利き手でつかまれるように設置しましょう。
  • 3.階段を下りるとき、影ができないように、足もと灯をつけましょう。

6. 浴室の安全対策と転倒予防

浴室は、身体の清潔を保つだけではなく、リラックスして一日の疲れを癒したり、意欲回復には大切なものです。高齢者が安全に入浴するためには、洗い場、浴槽、脱衣室をすべりにくくする工夫が必要です。また、洗い場と浴槽の段差を少なくすることも大切です。

脱衣室

  • 1)脱衣所はすべりやすいため、バランスを崩しても握ることができる手すりを設置しましょう。床の材質をすべりにくいものにするとよいでしょう。
  • 2)衣服の着脱時に片足立ちになってふらつくことがあります。椅子を置き、腰掛けてゆっくり清脱するとよいでしょう。
  • 3)浴室と脱衣所の段差がある時には、手すりを設置します。洗い場にスノコを敷き詰めて段差を取り除くこともできますし、すりつけ板などを取りつけてみるとよいでしょう。
  • 4)出入日や脱衣宅の扉は転倒時に危険なため、ガラス製でないほうがよいでしょう。

浴室

  • 1)浴槽と洗い場の床面の段差がある時には、浴槽を半埋め込み式に改修しましよう。
    浴槽が据え置き式の時には、スノコを敷くこともできます。浴槽の出入り口には、動作に合ったL字型の手すりをつけると安心です。
  • 2)浴槽からこち上がりにくい時には、浴槽の側面に手すりをつけるとよいでしよう。
    また半埋め込み式の浴槽の場合には、洗い場の床から浴槽の縁まで35~ 45cmヘ調整すると立位になりやすく、またぎやすくなります。
  • 3)浴槽内にスムーズに入りにくい時には、浴槽横に腰掛けのスペースやベンチ式の入浴台、シャワーチェアーを置けるスペースをつくるとよいでしょう。
  • 4)蛇口やシャワーの高さがあっていない時にはシャワーチェアーや腰掛台にあったシャワーや蛇口の高さに調節しましよう。
  • 5)洗い場がすべりやすい時には、すべりにくく、水分が乾きやすい床材にかえましょう。

7. トイレの安全対策と転倒予防

加齢に伴い、排尿回数が増え、トイレの使用頻度や使用時間も増えます。トイレまでの廊下は安全か、トイレの照明は明るいか、入り口に段差はないか、寝室に近いか確認しましょう。

  • 1.便器に腰を下ろす、立ち上がる時に安定してつかまるために、縦手すりをつけると動作が安定します(下図参照)。
  • 2トイレの出入り口に段差がある場合などは、安定してつかまって出入りの動作を行うための縦手すりがあると良いでしょう。
  • 3出入り口から便器まで移動する場合は、転倒しないためにつかまって移動する横手すりがあると良いでしょう。
  • 4.安定して使器に座っているために、横手すりがあると良いでしょう。

和式トイレを洋式トイレに変えることは大掛かりな工事を行わなくても可能です。
視力や暗順応(明るい所から急に暗い所へ行った時の日の調節力)の低ドにより、夜間、暗い廊下から急に明るいトイレヘ人ると目が慣れるまで見えにくいことがあります。徐々に明るくなる蛍光灯もありますので利用するとよいでしょう。冬場など室温の急激な変化は高齢者には負担となり、トイレで倒れる原因となりますので、トイレの温度を保てるようにしましょう。

8. 安全対策チェック表

ご自宅について下記の項目をチェックし、1つでも該当項目があれば、安全対策を行う必要があります。

1.収納の位置と場所

  • 戸棚が高い位置にあり、手が届かない
  • 戸棚が低すぎるところにあり、屈まないと物が取り出せない
  • 台所に十分な収納場所がない

2.室内の散らかり

  • たとえ一時的であつても、物や新聞、本などが床の上に置いてある
  • 電気コードが室内や通り道の床に出ている
  • 家具や物があるために、歩くときに避けて歩く必要がある場所がある

3. 小さい敷物・マット

  • 床や廊下、玄関にしっかりと固定されていない小さい敷物。マットがある
  • 小さい敷物・マットは足で押すと動く
  • 浴室にすべり止めがついていない小さい敷物・マットがある
  • 浴室の小さい敷物。マットは足で押すと動く

4.照明

  • 台所で調理する場所の上に十分な照明がない/暗い
  • 浴室に十分な照明がない/暗い
  • 寝室に十分な照明がない/暗い
  • 廊下を歩くと影ができる/暗い
  • 階段を下りるとき、影ができる/暗い
  • 照明のスイッチの位置が使いにくい

5.移動

  • 部屋、廊下、玄関などに3センチ以上の段差がある
  • 椅子やソフアーからの立ち上がりや座ることが困難
  • 部屋を横切るときに身体を支えるために家具につかまる

6.寝室

  • ベッドの端に座った時に足がつかない
  • ベッドに柵がついていない

7.浴室・トイレ

  • 浴槽の表面がすべりやすい
  • 浴室の床がすべりやすい
  • 浴室に手すりがない
  • トイレに手すりがない

8.高いところのものをとる場合の手段

  • 手の届かないところの物を取るときに、椅子の上に上がる
  • 踏み台がぐらついている

9.浴室・トイレの手すり

  • 入浴やシヤワーの時に手すりにつかまらないと不安定である
  • トイレに座る、立ち上がる時に手すりにつかまらないと不安定である

10.階段

  • 階段の勾配が急である
  • 階段に手すりがない

11.履物

  • 室内で脱げやすいスリッパを履いている

(環境危険スケール(North」dge et a1 1995)に加筆)

作成 聖路加国際大学大学院老年看護学・教授 亀井智子

高齢者向け “うち” で行う転倒予防運動

外出自粛が続く中、自宅でできる運動を継続することは、健康維持のほか、下肢筋力やバランス維持力の低下を防いで、転倒を予防するためのにとても重要です。

  1. 運動を始める前の準備

①運動できる安全なスペースを確保しましょう

②運動中の転倒を防ぐために、滑りやすいスリッパや靴下を脱ぎましょう

③動かすのは四肢末端から。手や足指のグーバー、腕回し、肩と首回しなど、体の末端部から始めていきましょう。

④運動の回数や強度は、自身の体調に合わせて一日少しずつ上げていきましょう。

2.運動プログラム

体操をはじめる前に

ひとりひとり関節の動く範囲や筋力の強さは異なります。イラストの人と全く同じ体勢にならなくても構いませんので、目標とする身体の部位が伸びているか、力が入っているかを感じながら行いましょう。

特に、以下の点に気をつけて行いましょう。

1.伸びる時、力を出す時は息を吐きましょう。
2.痛みが出るまで伸ばしたり、力を入れたりしないようにしましょう。
3.反動をつけず、ゆっくり行いましょう。

回数や頻度など

ストレッチ
柔軟性を高めるためには、お風呂上がりなど身体の温まったときに行うのが効果的です。ウォーキングや筋カトレーニングの前後に行うとケガの予防や疲労回復につながります。毎日行っても構いません。
筋カトレーニング
一つの動きを反復して行います。初めはほんの数回でも構いませんが、慣れてきたら10回を目安に行いましょう。力がついてきたら、10回を1セットとしてセット数を増やしていきましょう。頻度は、1週間に2~ 3回を目安に行いましょう。
全部をゆっくりとやってみたり、もしくは気になる箇所を部分的に試してみてください。

立位のストレッチ

1.上半身のストレッチ
① 足を肩幅に開き、両手を胸の前で組みます。
② 手の甲を天丼に近づけるように上げながら伸びます。
2.体側のストレッチ
① 1の姿勢から上体を右側に倒していきま魂顔や胸は前に向けたまま伸ばします。
② 体を戻して一度手を下ろします。反対側も同じように行います。
3.背中と胸のストレッチ
① 足は肩幅に開き、両膝を少し緩めます。
② 両手を胸の前で組み、手の甲を前方に出していきます。頭は腕の間に沈め背中を十分丸めます。
③ 手を離して体を起こします次に両手を背中側で組んで、斜め下にひきま九顔は斜め上を見て、胸を天丼に向けてしっかり開きます。
4.ふくらはぎのストレッチ
① 両足を揃えて立ち、片足を大きく1歩後ろにひきます。両足のつま先と踵は平行になるように気をつけます。
② 両足は前足の太ももに添えて前足に体重をかけます。後足の膝は伸ばして踵を床につけます。頭から踵までを真っ直ぐにして伸ばします。
③ 後ろ足を一度戻して、反対の足も同じように行います。
5.ふともも(前面)のストレッチ
① 右手で壁などを支え、横向きに立ちます。
② 左手は左足首を持ち、踵をお尻につけるようにします。左膝を後方にひくように仲ばします。
③ 足を一度戻して、反対の足も同じように行います。

椅子でのストレッチ

1.首のストレッチ
① 頭を右側に倒し、右手を左耳のあたりに添えます。
② 左手は楽に下げておきます。右手の重みを使い、頭を十分右側に倒して伸ばします。
③ 一度頭をまっすぐもどし、反対側も同じように行います。
2.体側のストレッチ
① 右手は椅子の縁を持ち、左手は天丼に向けて上げます。
② 左手を右側に倒しながら伸びます。左側のお尻が浮かないように気を付けます。
③ 体を戻して一度手を下ろし、反対側も同じように行います。
3.脚(後面)のストレッチ
① 右足の膝を伸ばし、踵を床につけてつま先を天丼に向けます。
② 両手は足の付け根部分に添え、背筋を起こします。体を前に倒しながら仲ばします。
③ 体を起こして右足を戻し、反対側も同じように行います。
※図中の―――線は、力を入れたり伸ばしたりする部分を示しています。

椅子での筋力トレーニング

1.ふともものトレーニング
① 背もたれから体を起こして腰掛けます。両手は椅子の縁を持ちます。
② 右足の膝を伸ばします。ふとももに力を入れて、そのまま5秒維持します。
③ 足をもどし、反対側も同じように行います。
スクワット
① 椅子から立ち上がり半歩ほど前に出ます。離れすぎないように気をつけます。
② 足は肩幅に開き、両手は前方に伸ばしてバランスをとります。
③ 深く椅子に腰掛けていきます。座り込む前に立ち上がります。
④ 胸を張り、膝はつま先から前に出ないように気をつけます。

3.ふくらはぎのトレーニング
① 椅子の背面に立ち、横を向いて右手を背もたれに添えます。
② 足は肩幅に開きます。両足の踵を高く上げ、その後ゆっくり下ろします。
③ お腹やお尻にも力を入れて、姿勢はまっすぐに保ったまま行います。

マットでのストレッチ

1.お尻のストレッチ
① ざっくりと大きくあぐらを組み、両手の甲を床につけます。
② 手を前方に進め上体を倒しながら仲ばします。
③ ゆっくり体を戻し、足を入れ替えて同じように行います。
2.脚(後面)のストレッチ
① あぐらの姿勢で外側にある脚を横に伸にばした足の方に向けます。
② 両手は伸ばした足の付け根に添えます。上体を倒しながら伸ばします。
③ ゆっくり体を戻し、反対の足も同じように行います。
3.股関節のストレッチ
① 両膝を開いて曲げ、足の裏と裏を合わせて引き寄せます。
② 両膝を軽く弾ませて力を抜きます。
③ 膝を止めて、背筋を起こし、上体を前に倒して伸ばします。
4.腰のストレッチ
① 両膝を立てて座ります。横から見ると足で三角形が作られた姿勢になります。
② 両手は後ろについて体を支え、ゆっくり両膝を右側に倒して仲ばします。
③ 膝を一度戻し、反対側も同じように行います。
5.上腕のストレッチ
① 楽な姿勢で座り、右手を前方に伸ばします。
② 右手をそのまま胸に寄せ、左手で右肘を押さえます。
③ 両手を一度下ろし、反対側も同じように行います。

マットでの筋カトレーニング

1.腹筋のトレーニング
① 仰向けに寝て両膝を曲げ、足で三角形を作ります。
② 両手はふともものあたりに添え、おへそを見ながら肩甲骨が浮く程度まで上体を起こします。
③ ゆっくり体を戻します。
2.お尻のトレーニング
① 仰向けに寝て両膝を曲げ、足で三角形を作ります。両手は体の横で床につけます。
3.背筋のトレーニング
① うつぶせに寝た状態で、両手は前方に伸ばし、足は肩幅に開きます。
② 右手と左足を同時に上げます。
③ ゆっくり戻して、反対側(左手と右足)も同じように行います。

国立長寿医療センター研究所 疫学研究部 小坂井 留美

「看護ネット」でも公開しています。

http://kango-net.luke.ac.jp/koureisya_kango/tentou_kossetu/taisou.html

作成 聖路加国際大学大学院老年看護学教授 亀井智子